続国歌大観例言

    例言

一 本書は、國歌大觀正編と同樣、古歌の一句に由りて其の出典を求むるに便ずるものにして、歌集索引の二部より成る。

一 歌集部は私集及び歌合を取り、六家集、三十六歌仙家集、諸家集、私撰集、歌合の五門に収む。歌數、長短雜體を合せて總て四萬一千餘首なり。

一 和泉式部集は第二版よりの増補にして、記載の位置を時代順にせず特に之を卷末に置けるは、索引番貌を初版と同一ならしめたるなり。本版亦之に倣ふ。但し歌集部目次に在りては之を諸家集中に置きて書目の檢索に便ず。

一 各歌の數字番號は卷首より卷末に至るまで單一なる通し番號を用ゐたり。これ書目の單純なる正編と異にして、書名の順序に煩さるゝことなく直に其の歌の所在を求め得る必要あるを以てなり。その番號數字は五字の多きに亙るが故に各歌の頭には略して終の二字をのみ記し、別に各歌の欄外に其の段の最初の歌の番號の全數字を記せり。

一 索引部は歌句を五十音順に排列し、且つ各句の下に歌集部と符合する番號を記入せるものなり。但し正編より稍略式に從ひ、短歌に在つては第一句と第四句とを取り、旋頭歌は之に第五句を加へ、長歌に在つては凡べての五字の句及び末句の前の七字の句を取り、今樣に在つては凡べての七字の句を取れり。而して同一の句五つ以上ある時は其の句の次行に「-」を以て其の句を代表せしめ「-」の下に其の次の句を記し、以て徒に一々歌集部を繙くの煩を輕減せり。

一 今左に索引の方法を例示す。
 「嶋立つ澤の」の詠の全歌、作者、出典を求む。索引「し」を引くに.「しきたつさはの七四五七」とあり。歌集を繙き欄外の標記「七四二四-七四五〇」に由つて其の頁に「(七四)五七」を求むるれば
  五七 心無き身にも哀は知られけり鴫立つ澤の秋の夕ぐれ
 とあるを知り、同時に山家集所載にて西行の詠なるを知る。
 平家物語小督の條に「小鹿なく此の山里と詠じけむ嵯峨のあたりの秋の頃」と
 ある引歌の本歌を求む。索引「を」を引くに「をしかなく」とありて下に番號無く、次に「-このやまさとの 二五八〇二」とあり、歌集部欄外の標記番號「二五七九四−二五八一二」の處に「(二五八)〇二」を求むる時は
    嵯峨にまかりて鹿の鳴くを聞きてよめる
 〇二 小鹿なく此の山里のさがなれば悲しかりけり秋の夕暮
とあるを知り、且つ基俊集所載同人の歌なるを知る。

  昭和六年二月五日
          》            編者識

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最終更新:2016年11月15日 14:40