“相撲力士”チヨ
■性別
女
■学年
2年
■所持武器
八拾七手の相撲技
■ステータス(攻撃/防御/体力/精神/FS(FS名...
攻撃:3/防御:15/体力:8/精神:4/FS(勝負所での焦り):0
発揮揚々・塵手水(はっきようよう・ちりちょうず)
発動率44+4=48% 成功率100%
ボーナス:4
効果:攻撃力5上昇 40
範囲+対象:自分自身 0.75
持続時間:永続 2.2倍
制約なし 10
能力原理
「蹲踞(そんきょ)の姿勢で揉み手をしてから拍手を打ち、両手を広げた後、掌をかえす」
そのような相撲の作法を行うことで、「もう一度相撲をとりたい」という一念によって覚醒した肉体強化の魔人能力「発揮揚々(はっきようよう)」の効力が強まる。
武士が刀をその身に帯びることで人外の精神力を得るように、作法を行ったチヨは人外の膂力と技を備えた“相撲力士”となる。
キャラクター説明
【フルネーム】
チヨ・R(レイジングファイア)・アサヒ
【概要】
アメリカ人と日本人のハーフ。
十両力士の父に憧れ力士を志す。
【所属部活動】
魔人相撲部(主将)
【容姿】
髷を結うために伸ばしている金髪と、母親譲りの碧眼。
グラップリング・パンツとレオタードを組み合わせた競技服を着用する。
一般的な男性力士のイメージに反し、細身。
【特徴】
魔人能力によって強化された頑強な肉体と、「技のAmazon」と呼ばれた父親譲りの多彩な相撲技を持つ。
肉体強化に伴い燃費が悪くなっており、すぐにお腹が減る。
【略歴・プロローグSS】
十両力士の父に憧れ、相撲を習い始める。
父の所属する相撲部屋に顔を出すようになる。
地域のわんぱく相撲大会低学年(1~2年生)の部において入賞を果たす。
関東のわんぱく相撲大会(全学年・男女混合)において優勝。
以降3年間、小学校を卒業するまで王座を防衛。
愛らしい見た目とプロ力士さながらの堂々とした取組とのギャップで業界の話題を集める。
中学校にあがると、男女混合レギュレーションの相撲大会が存在しなくなったため、渋々新相撲(女子相撲)に進路をとる。
しかし一年生にして個人全国優勝を果たしてしまい、早々に目標を失う。
女同士の練習では成長を見込めないと、男の部活動へと出稽古を行うようになり、そこで性別の壁に直面する。
自分より「心」・「技」の劣る相手に「体」の力のみでいいように転がされ、悔しい思いをする。
この時の悔しさを原動力に彼女は「誰にも負けない最強の相撲」を目指し一途に修練を積むこととなる。
徹底的に技を鍛えたチヨは、非公式ではあるが体重差150kgの元・プロ力士相手に五分五分の戦いを繰り広げる。
彼女の努力は実った。
その戦いに感化された元・プロ力士の働きかけにより男女混合のU18最大相撲トーナメントが開かれることとなった。
それはチヨの悲願だった。
チヨは燃えていた。
最大トーナメントで優勝して自分の相撲が最強だと証明するために燃え上がっていた。
彼女のアキレス腱がオーバーワークによって断裂し選手生命が絶たれたのは、ちょうどその頃であった。
「2度と激しい運動はできない」と主治医に宣告されてなお、彼女は毅然(きぜん)としていた。
くよくよしている暇などないと、ベッドの上でも動かせる部分を鍛えた。
朝が来て、夜が来て、それが何度も何度も繰り返され、
最大トーナメントが大盛況のうちに幕を閉じ、
それから更に何日も過ぎて、
それでも――――
――――それでも、彼女の足は動かなかった。
◇
ギィ。ギィ。
ハンドグリップを握り込む音が深夜の個室に響く。
「上手投げ」
ぽつりとそんな言葉が口をついて出た。
「上手から相手の褌を引き、投げる」技のイメージ。
引手も体幹の移動も明確にイメージできる。
それなのに、足さばきだけがイメージできない。
すり足でズズッと動いた足が、地を力強く掴むところがどうしてもイメージできない。
足を動かそうとしてみる。
足は、動かない。
ギィ。ギィ。
「小手投げ」
足は、動かない。
ギィ。ギィ。
「内掛け」
動かない。
ギィ。ギィ。
「引き落とし」
動かない。
何度も繰り返し見た最大トーナメントの映像が脳裏をよぎる。
自分もあの血滾る戦いに混ざりたかった。
鍛えた技がどこまで通用するのか試したかった。
「外無双」「内無双」
動かない。動かない。
例の元・力士さんが私のところにお見舞いに来て言った。
「残念だと思うよ。角界にとっても大きな損失だ」
何をと私は思った。
その口ぶりが「終わってしまった者」に対して向けられるものだと感じたからだ。
私は、終わってなんかいない。
「上手捻り」「下手捻り」「小手捻り」
動かない。動かない。動かない。
「掬い投げ」「上手出し投げ」「下手出し投げ」
「腰投げ」「首投げ」「一本背負い」
「二丁投げ」「櫓投げ」「掛け投げ」
動かない。動かない。動かない。
動かない。動かない。動かない。
動かない。動かない。動かない。
ギィ。ギィ。
「なんで……どうして……」
ポタリと、とうとう零(こぼ)れてしまった液体が掛布団を濡らす。
ギィ。ギィ。
――――ああ
――――もういちど、相撲がしたい
チヨは癒しの祈りをもって魔人として覚醒し、私立希望崎学園の生徒となった。
そこで彼女は廃れた魔人相撲部を立て直した。
部室を占拠していた不良を相撲で改心させ、部を取り潰そうとしてくる生徒会役員を逆に取り込み、生物災害を相撲で抑え、波乱に次ぐ波乱を乗り越え、彼女は3人の仲間を揃えた。
先鋒 “相撲剣士” ダブルライトセイバーと秩序の担い手・光刃(みつば)
次鋒 “相撲拳闘士” フリッカージャブと喧嘩殺法・小手埼(こてさき)
中堅 “相撲ライトニングナウマンゾウ” ナウマンゾウ
副将 “相撲数合わせの陸上部” 100mを11sec 石丸
大将 “相撲力士” ストロング相撲スタイル チヨ
彼らは10月に執り行われた全国魔人総合体育大会にて、前年度優勝、ブラックドラゴンつよし主将率いる羅漢学園魔人相撲部を激戦の末打ち倒し、全国優勝を成し遂げる。
前年度の輝かしい実績に引き寄せられ入部してきた一癖も二癖もある生意気な新入部員達、特に“相撲ネクロマンサー”頼子(よりこ)の扱いに四苦八苦しながらも、大会連覇に向けての練習に余念はない。
場所が変わっても、対戦相手が相撲と称してビームを打ってきても、それでもチヨは現状に満足している。
土俵があって、対戦相手がいて、仲間がいる。
体は以前にも増して軽やかに動き、自分のイメージ通りの相撲を体現できる。
なんと素晴らしいことだろうとチヨは思う。
◇
「そりゃーっ! 上手投げ!」
ライトセイバーの交差点をかち上げ、幻影に隠れた本体を掴んで投げた。
踏みしめた土の感触が気持ち良い。
「どっせーい! 小手投げ!」
小手先の拳群を高耐久で受け、関節を極めるついでに投げ飛ばす。
「とぉぉーっ↑ 内掛け!」
ナウマンゾウの右前足によるスタンピングと放電を抱き込んで受け止め、そのまま切り替えして土俵上に転がす。
「あはははははは!」
土俵から湧き上がる死霊の群れを投げる!
「あはははははははは!!」
相撲アサルトライフルを受け、投げる!
突っ込んできた大型相撲トラックをいなし、転がす!
相撲衛星砲をねこだましで相殺し、投げる!
やがて、立っているのはチヨ一人となった。
屍累々の稽古場。
パンパンと手を打って、彼女は楽しそうに言った。
「さぁ!おきておきて! もういっぽんいっくよー!」
■魁!希望崎相撲部 世界大会編へ続く!■
最終更新:2014年12月06日 16:33