第66話「願い」考察

※最新話のネタバレがあります! ネタバレや考察自体がお好きでない方は絶対に閲覧しないようお願いいたします。

※以下の内容を読んだ場合、今後作品を楽しむ喜びを損なう危険があります。閲覧は自己責任でお願いいたします。

※作中の描写だけでなく、作り手の意図や傾向、自分ならどうするかなど推測も交えて考察しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も、私の仮説に合致する内容が多く、嬉しい回でした。

 

◎巨人になったのはヒストリアではなくロッド・レイス卿

前回のラストで巨人化したのは、ヒストリアではなくロッド・レイス卿でした。
「実はヒストリアは巨人化注射を腕に刺しましたが、中の液体はまだ注入していませんでした、そこから途中の時間経過を省略して、リヴァイ班の見た巨人化の光はもっと後のロッド・レイス卿が巨人化した時の光であり、前回のラストに出てきた巨人は巨人化してから少し経った後の姿でした」・・・というのが前回のオチ。
つまり、途中の経過がわざと省略されていただけでした。

私は「問題は誰が巨人化するか」だと書き、コマ運び通りに原作チームはヒストリアを巨人化させるルートを選んだと思っていましたが、原作チームはロッド・レイス卿を巨人化させるルートを選んだようです。
これで前回の巨人の外見がヒストリアと異なっていた理由も分かりました。

 

 

 

◎「継承者になったロッドの弟」と「とちくるった弟のウーリ」は別人

ロッド・レイス卿は「継承者になった弟」の名前を一度も呼んでいません。

これは、「継承者になった弟」と、「とちくるった弟のウーリ」が別人である可能性を示しています。

 

そもそもロッド・レイス卿の回想に登場する「継承者になった弟」を見るかぎり、まったくとちくるってはいません。

つまり、ロッド・レイス卿には2人以上の弟がいるわけです。

 

レイス家は代々継承のために子どもを多く作っていると考えられます。

ロッド・レイス卿にも多くの兄弟がいたと考えるのが当然です。

 

今のところ、「とちくるった弟のウーリ」がグリシャである可能性もありますし、今後ウーリが登場する可能性もあります。

少なくとも、ロッド・レイス卿の回想に登場するグリシャは、「とちくるった」という表現がぴったりのような気もします。

 

 

 

◎ヒストリアやレイス家は巨人化能力者ではない

現在のヒストリアが巨人化能力者ではないことがほぼ確定したと思われます。
ヒストリアが巨人化能力者なら、注射針を刺した時点で巨人化している可能性が高いからです。
(ここで言う巨人化能力者とは、自発的に巨人になれる能力を持つ者を指します)

巨人化のメカニズムはまだ判明していませんが、現在可能性があると考えられる巨人化の条件は以下の通り。
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(1)明確な作業目的が必要(敵を倒す、岩を持ち上げて穴をふさぐ、スプーンを拾う、など)

※巨人化直前の意識が巨人の行動に影響してしまう。

(2)周囲に巨人化に必要な量の巨人化物質を含んだ大気が必要
(3)日光が必要(ただし進化の度合いによって必要としない場合もあるか。レイス家の地下は特殊?)

(4)‐①負傷する事で、肉体の修復機能を利用して巨人化する
(4)‐②負傷する事で、血液(中の物質または生物)が大気中の巨人化物質と結合して巨人化する
(4)‐③負傷する事で、痛みの信号を発信し、受信した月や衛星などからの指令で巨人化する
-------------------------------------------------------------------------------------

ヒストリアは注射針を刺した瞬間までは、巨人化する意志を持っていました。
彼女が巨人化を思いとどまったのはフリーダとユミルの記憶を思い出したからですが、それは注射針を刺した後です。

ヒストリアの場合、腕に注射針が刺さって、なおかつ血も出ているため、現在考えられる巨人化の条件は満たしていると思われます。

 

 

 

◎レイス家は巨人化能力者ではなく「継承体質者」

今回までに分かった事実は、レイス家は「この世界を創り この世の理を司る」という巨人の力と記憶(および初代王の思想)を継承できる体質を受け継いでいるが、レイス家でも継承者以外は自発的に巨人化できるわけではなく、巨人化には注射が必要だという事。

だからグリシャの襲撃を受けてもフリーダだけが巨人化し、他の者はなす術もなく傍観するしかなかったわけです。

 

 

 

◎初代レイスの王は「罪人である人類が、柵の外に出ずに巨人に支配される世界」を願った

わざわざ「初代レイスの」と断っているのは何か理由があるのでしょうか?
レイス家以前にも王家があったという伏線でしょうか?

フリーダの言葉をまとめると、「人類は罪人だから柵の外に出てはいけない」という事になります。
これは、外の世界を守るために「人類の罪が拡散してはいけない」という意味なのでしょうか。
それとも、壁内人類を守るために「罪人が外に出て何者かに見つかってはいけない」という意味なのでしょうか。

思い出されるのが1巻第1話「二千年後の君へ」冒頭のナレーションです。
「その日人類は思い出した ヤツらに支配されていた恐怖を… 鳥籠の中に囚われていた屈辱を…」

「思い出した」というセリフは、記憶操作から解放されたという意味にも受け取れます。
ということは、記憶操作により「恐怖や屈辱を忘れさせられていた」事になります。

それこそがユミルやライナーたちが、世界の秘密を壁内人類に知られる事を異常に警戒していた理由ではないでしょうか。
もしも「恐怖や屈辱の原因」を思い出したら、この世界やライナーたちの世界に破滅的な何かが起こる。
ユミルやライナーたちも、それだけは避けなければならないと考えていたからこそ、エレンの前では互いにウソを応酬し、特にライナーたちは敵、あるいは自分たちや猿巨人の正体だけは絶対に隠し通したのではないかと思われます。

SFで良くある設定で言えば、ユミルの言おうとした敵の正体「せ─」は「千年後の子孫(人類、未来人)」であり、だから未来から来た猿巨人も千年前の言葉はライブラリで学んで知っているが、実際に伝わるかどうかは確信がなかったし、壁内の事情にも詳しくなかった。そして現在のライナーたちの先祖を見つけて殺せば、自動的にライナーたちも生まれなかった事になって消滅する。だから絶対に真相を知られてはならない・・・というタイムパラドックス設定も考えられます。


ただ、この設定だけでは、柵=壁の外に人類が出てはいけないという話に繋がりません。
逆に言えば、「真相を知ると、必ず人類は壁の外に出て、何か悪い事が起きる」という事態にならなければ、フリーダの言葉に繋がらないわけです。

※この課題を解決するための仮説が、たとえば壁内人類=ウイルス(病原体)説参照

※仮説の例:

「人間が神の領域を犯し、遺伝子工学を暴走させた結果、iPS細胞から作られた人造人間である壁内人類のために巨人病が拡散して人類がほとんど全滅してしまった。

 大人は一定の年齢になると死に、子どもたちは人類滅亡の原因を作った過去の保菌者を抹消しに来たが、「今後千年間で生まれるはずだった子孫も生まれなかった事にしてしまう行為=民族浄化」は許されないと考えた一団がいた。レイス家を含む一部の子どもたちは反乱を起こし、他の子どもたちは巨人病にされて壁外に追放された。

 レイス家やその賛同者は、保菌者とともに壁の中に隠れ住んだ。グリシャは後から追いかけてきた未来人の追跡隊のひとりであり、仲間のキースたちとともに壁内に潜伏して、レイス家を倒して壁内人類を殲滅する機会をうかがっていた。(アニの父親も仲間か?アニがアルミンを殺すのをためらったのは、アルミンが自分の先祖だから?)

 その一方で、グリシャは伝染病のワクチン開発にも成功した。その成果が”生きたワクチン”とも言うべき、グリシャのクローンのエレンである。

 打倒レイス家と過去の人類殲滅のために、グリシャたちは、まず巨人にされた未来人の先祖を見つけ出して、ワクチンを投与した。次にキースがそのワクチン先祖を壁外調査に連れ出し、わざと巨人に食べさせる。天文学的に低い確率ではあるが、運が良ければ巨人にさせられた未来人が自分の先祖を食べて人間に戻り、壁内人類殲滅の使命を思い出す事ができる。

 だからキースが、調査兵団のモーゼス・ブラウンを「冒頭の顔の見えない巨人=鎧の巨人(参照)」に食べさせた直後に、①「調査兵団の帰還」、②「グリシャのレイス家襲撃出発」、③「超大型巨人や鎧の巨人の襲撃」が、全て同じ日に起きたのだ。グリシャがレイス家襲撃に出かけたのは、キースの調査兵団の帰還日=鎧の巨人が出現する日である事を知っていたからである。

 グリシャたちはここまで何度も失敗し、そのたびにレイス家の巨人の力で世界が再生され、振り出しに戻されて最初からやり直すという苦行を繰り返している。この無限に繰り返される戦いを始めてからすでに850年が経過してしまった。前回はウォール・マリアを奪還して地下室を目前にしたところで、「この力」を使う前にエレンが死んでしまった。もうすぐ千年が経ってしまう。あと150年しかないというタイムリミットを目前にして、ついにエレンたちがレイス家の目前に迫った・・・」

これらの疑問も、今後の展開に期待です。

 

 

 

◎フリーダとユミルの葛藤


ヒストリアが注射針を刺した瞬間、かつて手にトゲを刺した痛みの記憶がよみがえります。
牧場で”飼われていた”時に、牧場の馬の柵を乗り越えようとして手のひらにトゲを刺し、フリーダに恐ろしい形相で「柵の外に出るなって 言ったでしょ!!」と怒鳴りつけられた記憶。
この記憶を思い出した事により、ヒストリアはロッド・レイス卿の言葉に疑問を感じ、巨人化の注射を注入する寸前で手を止めます。

ここで、ヒストリアの脳内で、2つの記憶による戦いが始まります。
すなわち、「フリーダの記憶」と「ユミルの記憶」の戦いです。

▼最初はフリーダの記憶が大きく、その中にユミルと出会ったばかりの頃の記憶がインサートされる。
つまり、ヒストリアにとっては「フリーダとユミルが対立する存在」である事が示されます。

▼そこで場面は現実に戻り、ヒストリアとロッド・レイス卿の会話になる。
ロッド・レイス卿はフリーダの代弁をしています。
つまり、「お父さんが望む私の姿」とは、「フリーダが望む私の姿」でもあります。
フリーダもロッド・レイス卿も、レイス家の呪いに支配された奴隷なのです。
実は彼らも、与えられた役割を演じているに過ぎない。
今までのヒストリアと同じように。

▼ロッド・レイス卿が注射液をヒストリアの腕に押しこもうと、ヒストリアの手を掴む。
継承者になれば、初代王の思想に支配され、祈ることしかできなくなります。
それは、ヒストリアにとっては、誰かの命令で「良い子」を演じてきた今までの人生と同じです。
このままロッド・レイス卿の言葉を受け入れれば、ヒストリアもレイス家の呪いに縛られる事になります。

▼ユミルの記憶「クリスタ お前の生き方に 口出しする権利は私にない」
私はユミルが「巨人の力を盗んだ初代王(の最後の願いから再生された存在)」だという仮説を立てています。
(初代王は娼婦に関係する可能性あり)
この仮説に基づけば、「子孫のヒストリアに自分と同じ過酷な運命を強いたのは自分自身なので、口出しする権利は無い」という意味に取れます。

▼ユミルの記憶「だから これはただの・・・ 私の願望なんだがな」
だんだんユミルの姿が大きくなります。
これはヒストリアの中でユミルの記憶が、フリーダの記憶=レイス家の呪いを圧倒し始めている事を示します。

▼ユミル「お前・・・ 胸張って生きろよ」
ついにユミルの映像が見開きになります。
ヒストリアの中で、ユミルが完全にフリーダに打ち勝ったわけです。
そして、ヒストリアが父の手を払いのけ、注射器が床に落ちて割れます。
ヒストリアが、フリーダやレイス家の呪縛を振り払った瞬間です。


ヒストリアの中で、ユミルが勝利します。
天使(ルシファー)が堕天使(サタン)になったわけです。
(ならばエレンはデビルマンか。天使と悪魔。「オレは・・・ どっちだ・・・?」12巻第44話「打・投・極」)


私は昨年末、「ユミルは牧場でのフリーダの教えを知っていて、そのフリーダの教えをヒストリアの意識から払拭しようとしているかのようだ」と書きました。

ユミル
> もう一点気になるのは、雪山訓練の回想でユミルはヒストリアに「クリスタは良い子なんだから」とやたらに強調しており、まるで13巻第54話「反撃の場所」においてフリーダがヒストリアに語った「絵本に描かれているような、いつも他の人を思いやっている優しい子、みんなから愛される人になって助け合いながら生きて行きなさい」という教えを知っているかのようである。

>要するに、ユミルの今までのヒストリアに対する言動は、ヒストリアに刷り込まれたフリーダの教えを否定し、ヒストリアの意識から払拭する事が目的のようにも見える。

どうやら、これも正解だったようです。

ユミルは12巻でのヒストリアとの共闘(ついでにコニーも)を通じて、ヒストリアが自分の作ったレイス家の呪いに勝てるだろうと予測し、同時に、エレンが巨人を操った(ように見える)力を発現したことから、「この世界にも未来がある」という可能性を信じ、女神になる覚悟を決めてライナーたちを救うことを選択したのでしょう。

そのユミルの願いは、ひとまず叶った事になります。
ユミルはレイス家のように祈ったのではなく、ヒストリアを「信じた」のだと言えるでしょう。

 

 

 

◎ヒストリアの「もう!これ以上・・・ 私を殺してたまるか!!」

このセリフは、ダブル・ミーニングになっています。
(1)「これ以上自分の気持ちを押し殺して、他人の言いなりにはならない」という意味。
(2)この世界は何度も復活しており、そのたびにヒストリア(に相当する役割の人物)が死んでいるという皮肉。

また、このセリフは、私の「ヒストリアとユミルは同一人物」説にも合致します。

 

 

 

◎注射の中身とロッド・レイス卿の激高の理由

注射の中身は、たぶんレイス家代々の継承者が保存されている液体。

だから、ヒストリアが払いのけて注射器が床に落ち、中身がこぼれた時に、ロッド・レイス卿が狂ったように激高したのだと考えられます。

「注射の中身は父や、ウーリや、フリーダそのもの」なのですから。

 

ロッド・レイス卿にとって、父も弟もフリーダも、祈りを捧げるべき神です。

つまり、ヒストリアは神を拒絶し、叩き落としたのです。

ロッド・レイス卿が激高するのは当然でしょう。

 

※ロッド・レイス卿は注射の中身をなめる際に、ウーリの名前を呼んでいます。この点では「ウーリ=とちくるった弟」と見る方が自然です。ケニーがウーリを慕っている(らしい)理由は、ミカサがエレンを慕うのと同じ現象なのか、それともたとえばウーリがロッド・レイス卿の父(先々代の継承者)がアッカーマン家の女性に産ませた子ども(ロッド・レイス卿の腹違いの弟)などの設定があるのかもしれません。

 

私は、巨人はテラフォーミングだけでなく宇宙を旅するための遺伝子保存・生命維持カプセルであり、巨人化注射は人間(の記憶)が溶け込んだ液体だという仮説を立てています。

人間や生物を液体の形にできれば、大量に効率よく運搬する事が可能だからです。

 

 

 

◎ロッド・レイス卿のカバン

ヒストリアがロッド・レイス卿を投げ飛ばした後、彼のカバンを掴んでエレンの元に走ります。
カバンの中には、エレンの拘束器具のカギが入っているからです。
カバンは黒い医者カバンのように見えますが、1巻第1話「二千年後の君へ」のグリシャのカバンと比べると少しデザインが違うようです。
(グリシャのカバンには横にポケットが付いているが、ロッド・レイス卿のカバンには無い)

 

 

 

◎ロッド・レイス卿の思想

※「この世界を創り~」のコマだけ、ロッド・レイス卿の口元の血を描き忘れています。

レイス家には「この世界を創り この世の理を司る 全知全能にして唯一の存在」すなわち「神」をこの世に呼び戻し、祈りを捧げる以外の選択肢はない。

つまり、レイス家の正統継承者を作って神として崇めて祈り続ける事が人類に残された唯一の道だと言っているわけです。

それが「ロッド・レイス卿自身が巨人になるわけにいかない」理由なのでしょうか?
少々釈然としません。
継承者を作る種馬役だから巨人化で遺伝子汚染させるわけにはいかない・・・などの理由を想像していたのですが。

そして、最近まで宗教が無かった世界なのに、神という単語を当たり前のように使っているのも気になります。
「我々」とは、レイス家の事でしょうか?
それとも別の意味があるのでしょうか?(王政を含めた「平和な世界」に同意する少数の血族、など)

私はミカサのネーミングは「かみさま」のアナグラム(並べ替え)である可能性を考えています。


キースやエルヴィンの調査隊が攻撃した「顔の見えない巨人」の正体
>私はミカサは「かみさま」で壁教の神祖でエウロパの王女であり、やはり巨人の家系だと予想しているので、アッカーマン家の注射も存在するのではないかと推測している。

アッカーマン家の注射が存在するなら、ブラウン家の注射が存在してもおかしくありません。
レイス卿がミカサを見た時に、何らかの反応をするのかどうかを見てみたいですね。

 

◎「この世界を創り この世の理を司る 全知全能にして唯一の存在=神」

これも私の仮説に合致します。

私は、レイス家の巨人の力は記憶操作だけでなく、この世界を丸ごとすべて作り変える事ができる能力だと考えています。

レイス家

>巨人の力とは、自分と周囲の全てを原子分解し、最後に願った姿で再構築できる力。

 

いわば、レイス家の巨人の力は世界を初期化し(イニシャライズ)、自分の望む形式にする(フォーマット)能力です。

つまり、この世界は一部(植物?)を除いてすべてが何でも作れる万能物質で作られたイミテーションなのです。

私は、この世界はパソコンに例えるのが分かりやすいと思います。

●エレン=ユーザー、OS

●アルミン=データ、CPU(演算能力)、アプリケーション

●ミカサ=アドミニストレイター、ユーザー承認、支援機能全般

●大部分の単一民族=HDD(だから記録の書き換えや上書きが可能)

●王政、記憶操作を受けない(本当かどうかは分からない)一部の血族=バグ、ウイルス

●巨人=圧縮データ(アーカイブファイル)、圧縮ソフト

 

だから、すべての巨人を駆逐する事も可能です。

レイス家の巨人が、「巨人のいない世界」を望めば良いだけなのです。

世界そのものを作る事が出来るのですから。

 

その代わり、その力を使った者(歴代のヒストリア)は死ぬのでしょう。

ただし、死ぬのがどのような状態を指すのかは不明です。

私は、この世界再生能力を使ったものは自らも原子分解され、大気中に拡散し、世界全体を覆っているのだと考えています。

 

そして、この世界には雲が存在するため、摩擦による帯電・放電があり得ます。

その微弱な電気信号が飛び交う事により、世界全体がある種の思考を行っている。

つまり、この世界全体が、継承者の脳の中なのです。

 

 

 

 

 

◎エレンのおかしな拘束方法

エレンの腕を拘束する鎖は異常に長く、エレンからかなり離れた地下洞窟の壁で固定されています。
もちろん、拘束された者の両腕を広げる事で、巨人が拘束された者のうなじから背骨にかけての部分を食べやすくするのが目的なのは分かるのですが、単にうなじを噛み切りやすくするだけなら、わざわざ遠く離れた壁から鎖を伸ばさなくても、もっとエレンに近い場所に固定する方法があるでしょう。

このような面倒くさい方法で拘束している理由は、おそらく「拘束された者が巨人化する」事を想定しているからでしょう。
なぜなら、継承の儀式に使うこの場所に拘束されるのは、巨人の力の継承者に決まっているからです。

あるいは、この場所はもともと巨人サイズの人間に合わせて作られた場所で、それを無理矢理この人類のサイズで使用しているからだとも考えられます。
私は、この世界は「巨人化のメカニズムを応用して創造されたイミテーションの世界」、あるいは「巨人の硬化能力を利用して作った宇宙船やコロニー」という仮説も考えており、この地下洞窟を作った巨人が自分のサイズに合わせたと考えるのも面白いと思います。

 

 

 

◎ヒストリア「私は人類の敵!!最低最悪の超悪い子!!全部ぶっ壊してやる!!」

天使だったルシファーは堕天使となってサタンとなり、天使と戦います。
ルシファーの罪は傲慢。
私はリヴァイのネーミングの由来はリヴァイアサン(レヴィアタン)だと考えています。
つまりリヴァイは悪魔なので、エレンに何度も「自分で選べ」と選択をさせる。
ですから私は登場人物の中に七つの大罪に対応する人物が密かに配置されているのではないかと予想しています。

リヴァイの由来がリヴァイアサンの場合、リヴァイ自身がリヴァイアサンなのか、それともアッカーマン一族がリヴァイアサンなのかも問題です。
リヴァイ自身の場合、リヴァイだけに特別な役割が割り当てられている可能性があります。

ちなみに、ヒストリアは10巻第44話「ヒストリア」でも、ウトガルド城でも巨人化したユミルに「もう こんなもん ぶっ壊せ!!!」と叫んでいます。
彼女は本当に塔を全部ぶっ壊すかもしれません。
ヒストリアが「ヒストリア」と同じセリフをで叫んでいるのは偶然ではないでしょう。

後で感想として書きたいと思いますが、10巻は私が一番好きな巻です。
『進撃の巨人』の単行本の中で、「最も美しい」巻だからです。

 

 

 

◎ロッド・レイス卿の中身は子ども?

ロッド・レイス卿が登場した時から、顔が妙に子どもっぽいと思っていましたが、ヒストリアに投げ飛ばされた後に床にこぼれた注射の中身を舐めながら「父さん・・・ ウーリ・・・ フリーダ・・・ 待ってて・・・ 僕が今・・・」と子ども口調になりました。

私はライナー(たち)はその言動から見て「見かけは青年だが、中身は少年」という仮説を立てていましたが、正解である可能性が出てきました。

注射の中身は子どものまま成長が止まっているのではないでしょうか。

また、これに関連して私は「2つのレイス家襲撃事件 第62話「罪」と第63話「鎖」の違い」で、第62話「罪」のレイス家襲撃事件と、第63話「鎖」のレイス家襲撃事件は別の事件ではないかという仮説を立てています。
つまり、同一人物ように見えても、2つの事件のレイス家とグリシャは(一部を除いて)別人だと考えています。
ロッド・レイス卿も、顔が少し違うように見えます。
回想ではロッド・レイス卿はより大人っぽく、頬はやや角ばっていますが、現在のはロッド・レイス卿は下膨れで目が大きく、より子供っぽいデザインになっています。

今のロッド・レイス卿は、回想に登場するレイス家の子どもの誰かではないでしょうか。
たとえば、グリシャ(らしき巨人)に殺された家族の死体の脊髄液をなめた、いったんつぶされたが、グリシャ巨人に倒されたフリーダ巨人の血を浴びて再生した・・・とか。

 

 

 

◎ケニーがロッド・レイス卿の口をナイフで傷つけた伏線を回収

ケニーがロッド・レイス卿の口をナイフで傷つけていたことが、床にこぼれた巨人注射液がすばやく効果を発揮する助けになったと思われます。
傷と出血、そして巨人化への明確な目的意識という、3つの巨人化条件が満たされていたわけです。

 

注目は、第65話「夢と呪い」でロッド・レイス卿が、「巨人になれば制御はきかないが・・・」と言っている伏線です。

私は当初、「ヒストリアが巨人化するが制御がきかなくなって暴走し、ロッド・レイス卿を食べてしまう」、「なぜか駆け付けたリヴァイ班のうちの誰かを食べようと暴れ始める」などの展開があるのかと考えていました。

この伏線がどのように生かされるのかも楽しみです。

 

そして、レイス家でさえも「巨人になったら制御がきかない」という事は、継承の儀式でも制御がきいているわけではないという事です。

つまり、レイス家の誰かがそばにいるとそっちを食べようとするのかもしれませんから、ロッド・レイス卿が急いでヒストリアから離れたのも納得できます。

巨人化の際の爆発?から逃げるだけでなく、制御を失った家族の巨人に食べられるのを防ぐためでもあるわけです。

 

さらに、他の者が近付きさえしなければ、巨人は自動的に「巨人の力と記憶の継承者」を優先的に食べるのだとすれば、レイス家の継承の儀式は、ほかの巨人と同じ食人衝動を利用した、かなり不安定な方法だと考えられます。

この点から逆算すると、「巨人はなぜ人を食べるのか?」という、この作品最大の謎の一つも推測できます。

実は巨人は、レイス家と同じく力や記憶の継承をするために人間を食べているのではないでしょうか?

 

そして、2巻第9話「心臓の鼓動が聞こえる」4巻第14話「原初的欲求」の巨人の行動の意味も理解できます。

第9話「心臓の鼓動が聞こえる」では、エレンに巨人たちが食い付き、それを見たアルミンが「共食い・・・?」とつぶやきます。

なぜ巨人たちはエレンを食べようとしたのか?

第14話「原初的欲求」では、巨人たちが人類をなぜか無視してエレンに向かっていくため、ミタビ班もイアン班もエレンを助けるために地上に降り、巨人に近付き自らを囮として、次々に巨人に食べられ死んでいきました。

なぜ巨人たちはエレンを優先的に食べようとしたのか?(人類も食べないわけではない)

要するに巨人は、エレンも巨人の記憶や力の継承者だから優先的に食べようとしたのだと考えられます。

ということは、巨人そのものが、本来は力や記憶の継承を目的に作られた可能性が高い、という事です。

 

この点についても、私は「巨人は人ではなく「記憶(脳、血液)」を食べている」という仮説を、すでに立てています。

巨人は巨大な脳細胞であり、人類の遺伝子や記憶を自動的に収集するために作られた存在。

巨人が作られた目的は、「全人類の記憶を一体の不死の巨人(脳)にまとめることで、不老不死、平和な争いの無い世界、および永遠膨大な思考能力を得ること」

 

 

 

 

◎超大型巨人より大きい巨人

私は巨人がテラフォーミング用の生体土木重機という仮説を立てています(参照)。
現在の考察では、レイス家は純粋な戦闘用の巨人は保有していないと考えられます(参照)。
これは巨人が土木用の道具だという仮説に合致します。

たとえばレイス家がテラフォーミングを行う建設会社の社長一家で、そのために多くの土木作業用巨人を保有していると考えれば、その中でもっとも戦闘に向いた巨人を選んだと考えられます。
おそらくロッド・レイス卿は、海外の鉱山などで現実に稼働している巨大トラックやバケットホイール掘削機のような、手持ちの在庫の中で最も大きく馬力の大きい巨人を選んだのではないでしょうか。

この後、鎧の巨人になったエレンが仲間と脱出し、駆け付けたエルヴィン達と合流するも、「こんなデカい奴どうやって倒せばいいんだよ」と言って苦戦している時に、ケニーのナイフによってエレンの額に入ったロッド・レイス卿の血の伏線が回収されてエレンに新しい力が発現するか、他の巨人が助けに来る、『風の谷のナウシカ』のように、何らかの理由で巨神兵のように自壊してゆくという展開も面白いと思います。

 

 

 

◎「ヨロイ ブラウン」の小瓶

ヒストリアとともに風にとばされたロッド・レイス卿のカバンから、注射器と注射液の小瓶が転がり出ています。
注射液の小瓶には、逆さカタカナ文字で「ヨロイ ブラウン」と書かれているように見えます。
これにより、いくつかの仮説が立ちます。
(1)ライナーと同じ鎧の巨人→レイス家とライナーたちのルーツは同じか、関連がある
(2)レイス家は戦闘用巨人を持っていない→鎧の巨人も戦闘用ではない
(3)「ブラウン」と書かれている→家系ごとに決まった性能の巨人能力を継承している。原則的には他の家系は使用できない?

 

そして、これもまた、私の今までの仮説に合致する内容です。

キースやエルヴィンの調査隊が攻撃した「顔の見えない巨人」の正体
>情報が不足していて憶測の域を出ないが、おそらくライナーはこの後「鎧の巨人」の注射を使って、現在の鎧の巨人に変化したのではないだろうか。

>という事は、ただ人間を食べるのではなく、「用途に合わせた巨人の注射」をした人間が巨人化して他の人間を食べると、その人間の記憶や人格をコピーすると同時に、注射の中身によって様々な能力を持つ巨人に変身できる能力を得るのではないだろうか。

>注射器には鎧の巨人とは書かれていないと思うが、もしかしたら「ケンチクノキョジン(建築の巨人)」と書かれているのかもしれない。未知の惑星の過酷な環境下で巨大建造物を作るような重労働用巨人というイメージである。

>そして、第63話「鎖」では誘拐されたエレンとレイス家の「サイキョウノキョジン」注射、そして巨人化能力を持つフリーダの腹違いの妹ヒストリアが地下に集められ、前述の「誰かを巨人化させて自分を食わせる事で、自分の記憶と人格を強制的に継承させる」条件が揃っている。
>※継承しているのは人格というより
「目的意識」なのかもしれない。

(レイス家は「初代王の思想」と表現している)

 

 

 

◎リヴァイ「好きな方を選べ」

リヴァイの思惑通り、ついにエレンが「死に物狂いになれる環境(13巻第51話「リヴァイ班」)」が最大に活かされる場面が到来です。
悪魔がまたしてもエレンにアドベンチャーゲームのように選択を強要し、エレンは他人ではなく自分を信じて「ヨロイ ブラウン」の注射液の小瓶を噛み割ります。

 

 

 

◎巨人化注射液は口から飲んでも効果がある?

病院で処方される点滴液も、実は飲んでも同じ効果があるそうです。
血管に注射して血液に直接栄養を送るか、それとも腸から吸収して間接的に血液に栄養を送るかの違いでしかなく、結果はほぼ同じなのだとか。

私は、ユミルが人間に戻ったのはマルセルを食べたからではなく、一緒に食べたマルセルの所持していた巨人化注射液の効果ではないかという仮説を立てています。

缶詰説
>・マルセルは巨人化注射を所持したまま食べられたため、その注射液の効果でユミル巨人は人間に戻った。

今回、ロッド・レイス卿が巨人化注射液を舐めて巨人化した事で、その仮説が正解である可能性が高まったと思われます。

 

 

 

◎「ヨロイ ブラウン」の液体でエレンはどうなる?

上でも書きましたが、私は「キースやエルヴィンの調査隊が攻撃した「顔の見えない巨人」の正体」は「鎧の巨人」=ライナー・ブラウンだと考えています。

その根拠が、冒頭の巨人も鎧の巨人も、口の右側から蒸気を吹いている事です。

冒頭の巨人と鎧の巨人の比較

ちなみに、1巻と11巻で鎧の巨人のデザインが違うのは、アニメ化を機にデザインを変更したから、との事。

つまり、1巻の時点から、11巻の鎧の巨人と同じデザインだという設定に変更されたわけです。

漫画では外見が変わっていますが、設定上はデザインは変わっていない事になっていますのでご注意ください。

 

いまのところ、私の想像では以下のような予想をしています。

(1)ブラウンさんという鎧の巨人になれる能力者の脊髄液が、複数の小瓶に保存されている。(ただし歴代能力者も入っている)

(2)この脊髄液を注射されると鎧の巨人になる能力を得るが、その代わりブラウンさんの記憶と意識に脳を支配されてしまう。

(3)ブラウンさんに脳を乗っ取られないためには、自分の意識がブラウンさんの意識を支配しなければならない。

 

そして、ライナーが二重人格になったのはなぜか?

私は、「今のライナーの人格は脊髄液中のブラウンさんの人格だが、罪の意識から自分以外の意識を支配する精神力が弱まったため、自分の食べたモーゼス・ブラウンの人格が強くなってしまった」のだろうと想像しています。

また、この液を複数の人に注射すれば(条件さえ合えば)ブラウンさん(の人格を持った人間)がいっぱいできる事になります。

 

もしそうだとすると、エレンもブラウンさんの人格に影響を受けるかもしれませんし、ブラウンさんの記憶によって世界の秘密の一端を知る事が出来るかもしれません。

私は、「エレンは必ず他の人格を支配できる特殊体質を持っている。これは貴重かつ重要な能力であり、だからこそライナーたちはエレンを必死に連れ帰ろうとした」という可能性を考えています。

 

そして、来月号でエレンの変身した巨人は、口の右から蒸気を吐いているのかどうか。

そこにも注目したいですね。

 

 

 

 

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最終更新:2015年02月14日 21:49