１１．田植え
疎開したのは６月でした。田植えの時期なのです。戦争してるからと止めるわけには行きません。猫の手も借りたい忙しい時期です。私も駆り出されました。生まれて初めて田植えをしました。水田といえば聞こえはいいですが、泥の中に足を踏み入れての作業です。泥の中にはヒルがいるのです。足を持ち上げるとヒルが足に食いついてくるのです。血が出るほど食いついているのもいました。食いついたヒルは簡単に取れません。泥を手に持ってヒルを掴みそして引き離すのです。
田植えは、長いひもに等間隔に布が巻きつけてあり、布のところに植え付けます。そうすれば碁盤目状に田植えされ、生育した後草取りなどの作業がしやすくなります。田植えは、苗を持ち中指を突き刺すようにして植えます。田植えが終わる時期になってどうも中指が痛いのです。化膿してるようです。母に連れられて病院にゆきました。爪を剥がされ化膿したところを切り取る治療を受けました。爪をはがされたのは憶えていますが、今中指の先端が不揃いなところをみると、中指の先端の化膿したところを切り取る治療も受けたようです。
私の傷はこの程度でしたが、弟の場合は田植えとは関係ありませんが、戦時下であったため死に至るという状況になってしまいました。
昔の田植え風景 ウィキペディア フリー百科辞典から引用
（工事中）
最終更新：2015年09月07日 16:37
