病んだ京ちゃんと彼女たちと

――俺は、何をしているんだろう。

「京ちゃんも、来年は一緒に頑張ろう?」


――みんな、頑張ってるのに。

「ま、タコスの恩は返すじぇ」


――俺は、こんなところで。

「……私も、協力しますから。今までのお礼を」


――みんなに、手間を。

「安心せい。時間はあるからな、とことんやろう」


――俺は。

「……今までは、何もできなかったから。せめて、これぐらいはやらせて?」


――俺は。

「あの、先輩?」

 


――駄目、だ。

 

 

「須賀くん」


手を握られている。温かい。

聞き覚えのある声だけど、誰かは思い出せない。

目を開いて確認するのも億劫だ。


「ごめんね。私の、せいだよね」


謝れている。わからない。

思い出せない。誰だろう。

この人は、何で悲しそうなんだろう。


「……私は、側にいるから。何も出来ないかもしれないけど」


口を開くことも出来ない。


「だけど、せめて……私は、私たちは」


頬に何かが伝う。


「ずっと、側で」


それが何かは、やっぱりわからないけれど。


「待っているから。あなたのことを」


ほのかに、あたたかいと、おもった。

 

 


【病んだ京ちゃんと彼女たちと】

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最終更新:2016年02月05日 13:34