好きな人に好きなことを好きなところで

可愛い後輩から、愛しい人へ。

私の中の印象が変わったのは、いつからだろう。


「頼まれて来たもの、持って来ましたよー」

「ありがとう、須賀くん♪」

部活の為に雑用を頑張る姿が好き。


「ぐぬぬ……」


弱いなりに頑張って打つ姿が好き。


『カモ連れて来たぞー』


咲を連れて来てくれた彼が好き。


『うわ、張り付くなよ!』


優希とじゃれあっている彼が好き。


『お、おう……ありがとう、教えてくれて』


和に指導を受けながらも、目線がわかりやすい彼が好き。


『こんなのどうすか?』


まことメニューについて話し合ってる彼が好き。


もう何だっていい。

とにかく私は、彼が――

 

 

 

 

「俺、苦手なんだよね。あの人」

 

 

 

 

「雑用……ってのも、まぁ。正直に言うとあるけどさ」

「ただ何つーか、あの人と一緒にいると空気が変な感じで」

「嫌……ってわけじゃないんだけど、何か……むず痒いっつーか……」

 

「……ん? 何か今変な落としなかった?」

「よし、ちょっと見てくる」


「あれ、何も無い……気のせいか?」

 

 

 

 


私は、彼が好き。

 

 

 

 

彼が好き。

――私から遠ざかる足が嫌い。


彼が好き。

――私を拒む手が嫌い。


彼が好き。

――私を見ない目が嫌い。


彼が好き。

――私と話さない口が嫌い。


彼が好き。

 

私は、彼が好き。

 

 

 

「こうしてれば……よっと」

「ふう……狭いとこって落ち着くのよね。何故か」

「そう思わない?」

「んー……まぁ、いいけど」

「ん、だけど流石に狭過ぎるか……じゃ、コレで……良し」

「これで……」

「これで、心から正直に」

「あなたに、想いを伝えられるわ」

 

「須賀くん――私は、あなたのことが」

「世界で一番、大好きです」

 

 

 

【好きな人に好きなことを好きなところで】

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最終更新:2020年02月29日 14:10