刻鸞王国が滅んだ後、一人の神族が生まれた。
“炎と鳳凰の神族、暁麗瑩”
そして刻鸞王国の次の国、美鳳聖王国…
第一節では美男と称された暁麗瑩の幼少期、王になるまでを語ってゆきます。
目を奪われるほど美しいと言われた暁麗瑩。
幼少の頃から本当に天から舞い降りてきたようだとまで言われていた。
それほどまでに美しかった故、人間から様々な暴行を受けた。
そのせいで心が歪み、人間を忌み嫌うようになっていったのである。
大人になり、王として即位した暁麗瑩。
側近に仕えるのは秀叡だったが、元皇家の家臣でもあった故、折が全く合わなかった。
世界を統べようと野望を抱く暁麗瑩は、手始めに隣国、刻戀を攻めようとしたが……
帝秀叡も帝怜禎も、そして皇唯黯さえも暁麗瑩には大人になるまで、会うことも言葉を交えることもなかった。
だからお互いに何も知らない。中身まですぐに知るのは神とて無理である。
暁麗瑩は下位の神使のくせによく働く秀叡が嫌いだった。まるで仮面をかぶっているようだったからだ。
そして秀叡も怜禎も彼をよく思っていなかった。怜禎は皇唯黯の側近であったが、互いに関係も多く、秀叡に対する仕打ちにはたいそう腹を立てていた。
仕打ちとは、麗瑩が秀叡に当てた腹いせのようなものである。
よくできているのが癇に障り仕事を一人ではこなせない量を与えていたのだ。
そんな月日が続いたある日、秀叡が倒れてしまう。そして怜禎は緒が切れて……
互いに純血の神族である二人。人間嫌いの麗瑩と人懐こい唯黯。
麗瑩が手始めに隣国で唯黯が治める刻戀へと宣戦布告をしようとしたが、彼はあっさりと国を引き渡してしまう。
争いを好まない彼の優しさゆえなのだが、麗瑩はこれにより腹を立ててしまう。
そんな彼をよそに唯黯と怜禎は麗瑩の王宮に一緒に住まうこととなったのだ。
怜禎との一騎打ちが二度行われた後。
休みを与えたのに、それでも夜中まで仕事をこなす秀叡。
楽しそうに朝稽古をする怜禎と秀叡。
自分だけ蚊帳の外にいるような気がした麗瑩は……
皇唯晏の別人格である皇唯黯。オリジン(主人)が憎み呪い苦しみながら死んでいったという事実、無念を晴らすために「復讐」することを誓う。
そして皇唯黯は帝怜禎を異次元に呼び…
勢力を付けてきた美鳳聖王国と刻戀王国は、帝国へと成長するべく、視察のために西へと向かう。
道中、言葉を話すことができない一人の少女と出会い…
*あらすじ
一人仲間も増え、昔とは180度変わった和やかな主従。
そこに一つの知らせと嵐が届く。